G-JCD6BP9HDW 横断歩道で譲る高齢者へ|現役ドライバーが「渡ってほしい」本当の理由
物流の風景

【ドライバーの本音】横断歩道で「お先にどうぞ」と譲ってくれる高齢者の方へ。遅くてもいいから、どうか渡ってください。

横断歩道をゆっくり渡る高齢女性を、白い配送トラックのドライバーが停止して見守っている。歩行者優先と安全な譲り合いを伝える、明るく穏やかな道路風景のアイキャッチ画像。
logicompass528@gmail.com

今日は、Logi Compassです。

日々ハンドルを握っていると、道路上では毎日たくさんの「譲り合い」や「思いやり」に出会います。特に、横断歩道の手前でスピードを落とした時、待っていた歩行者の方が笑顔で「どうぞどうぞ、お先に言ってください!」と手招きしてくれる瞬間。

その優しいお気持ち、本当にありがたいですし、心が温まります。

……ですが、現役ドライバーとして、そして道路のプロとして、ここで強く、どうしてもお伝えしたい本音があります。

「横断歩道では、どれだけ足が遅くても構いません。申し訳なさそうに譲ってくださらなくて大丈夫です。どうか、ご自身のペースで堂々と渡ってください!」

今回は、なぜ私たちドライバーが「どうぞ」と言われても嬉しくないのか、そして道路に潜む「危険な親切の罠」について、少し踏み込んでお話しさせてください。

どんなに笑顔で譲られても、車が動けば「一発アウト」という現実

まず、現実的な法律の話をさせてください。道路交通法(第38条)では、「横断歩道を渡ろうとする歩行者がいるときは、車は一時停止しなければならない」と厳格に定められています。

ここに、「歩行者が譲ってくれたあら、必ず先に進んでよい」と明確に安心できるルールがあるわけではありません。

たとえ歩行者の方が「私はいいから、先に行って!」と親切で譲ってくれたとしても、横断しようとしている歩行者がいる以上、ドライバー側には慎重な判断が求められます。少なくとも現場のドライバーとしては、「譲られたから大丈夫」と簡単に進めないのです。

ドライバーにとって、免許は生活や仕事に直結する大切なものです。歩行者の方の善意に甘えた結果、警察に捕まってしまう……。これが、ドライバーが横断歩道手前で「頼むから譲らないで、先に渡って!」と内心パニックになっている、最初の理由です。

「歩くのが遅くて申し訳ない」なんて思わなくていい

特に高齢者の方や、お身体が不自由な方に多いのですが、「自分は歩くのが遅くて車を待たせるのが申し訳ない」「車に待たれていると、急いで渡らなきゃと気持ちが焦るから。それなら車を先に行かせよう」と譲ってくださることがあります。

ですが、断言させてください。

横断歩道を何秒で渡らなければならない、なんていうルールはどこにもありません。

横断歩道は、歩行者が誰に気兼ねすることもなく、最優先で安全に渡るために作られた場所です。遅かろうが早かろうが、そこにいる歩行者を安全に渡らせるのが、ハンドルを握るすべてのドライバーの義務です。

「待たせてわるいな」という申し訳なさや、「急がなきゃ」という焦りを感じる必要ば一切ありません。プロのドライバーは、あなたが焦らず、ゆっくりでも安全に渡り切るのを喜んで待ちます。だから、どうか譲らずに、ご自身のペースでゆっくりと渡ってください。そのほうが、お互いにとって一番安全で、一番スッキリ解決するのです。

逆に、横断歩道のない『車道』で絶対に譲らない理由

一方で、私たちが「絶対に譲らない」と心に決めている場面もあります。それは、横断歩道のない車道を、無理に渡ろうとしている歩行者がいるときです。「渡りたそうにしているから止まってあげて、手で『行っていいよ』と合図してあげよう」一見、これも親切に見えるかもしれません。

しかし、これは道路上で最も恐ろしい【サンキュー事故】を引き起こす引き金になります。

車道で1台の車が親切に止まって歩行者を渡らせると、その車の陰(死角)から走ってくる対向車や、左側をすり抜けてくるバイクからは、渡っている歩行者の姿が全く見えません。「車が譲ってくれたから」と安心して歩き出した歩行者の方が、死角から来た別の乗り物にはねられてしまう……。

もし、そんな大事故が起きたら、「行っていいよ」と促してしまったドライバーは、一生消えない深い後悔と精神的な責任を背負うことになります。

だからこそ、横断歩道のない場所で渡ろうとする人に対しては、私たちはあえて、「心を鬼にして無視する(止まらずに通り過ぎる)」という選択をします。安易に譲らないことこそが、歩行者の命を守るプロの配慮だからです。

まとめ:本当の「どうろの優しさ」ってなんだろう?

道路上での本当の優しさとは、その場の雰囲気を丸く収めることではなく、【全員がルールを守って、絶対に事故を起こさないこと】です。

  • 横断歩道では:歩行者は、遅くてもいいから譲らずにマイペースで渡る。車は完全に止まってそれを見守る
  • 車道では:歩行者は絶対に無理に渡らない。車も安易に譲らない。

お互いの「良かれと思って」という善意が、ときに違反や悲しい事故を生んでしまうことがあります。

もし、この記事を読んでいる歩行者(特に高齢者)の方がいらっしゃったら、今度、横断歩道で車が止まったときは、どうか遠慮なく、堂々とゆっくり歩いてください。ドライバーは、あなたが安全に渡りきるその瞬間を、心からの安心と共に待っています。

お互いに正しいルールと、本当の思いやりを持って、誰もが安全に、安心して移動できる道路をみんなで作っていきましょう。

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橘 ユウト
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AIと現場から物流を再設計する配達員|橘ユウト
現役ラストワンマイル配達員「橘ユウト」と、物流を観察するAIロボット「ロジー」で運営するブログ。 現場の視点とAIの視点から、日本の配達の「当たり前」を少しだけ見直しています。
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