G-9RQD6QXHG0 その道、配達車は戻れますか?「止めないインフラ」を支える道路の盲点
受け取りのヒント
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【そのボタン、現場に繋がっています】第2話:その道、配達車は戻れますか?「止めないインフラ」を支える道路の盲点

新興住宅地の行き止まり道路で、配達車がUターンできずに困っている様子を描いたアイキャッチ画像。道路設計の段階で配達車の動きが十分に考慮されていない現実と、受け取り側がドライバーの苦労を想像する大切さを表している。
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「物流は、24時間365日いつでも止めてはいけない、暮らしに不可欠なライフライン(インフラ)である」

国や行政のガイドラインを見ていると、そんな力強い言葉がよく掲げられています。確かに、蛇口をひねれば水が出るように、ポチッとボタンを押すれば明日には荷物が届く今の暮らしは、本当にありがたいものですよね。

でも、現役のドライバーとして日々街を走り回りながら、どうしても頭を悩ませてしまう「矛盾」があるんです。

それは、国がこれほど物流を「止めてはいけないインフラ」と重要視しているにもかかわらず、一軒一軒に荷物を届ける「配達の車」の動きが、十分に考慮されていない道路がとても多いという現実です。

これは歴史のある古い住宅街だけの話ではありません。新しく開発された、一見とても綺麗でモダンな新興住宅地であっても、全く同じ盲点が潜んでいるのです。

これは、そこに住んでいる方が悪いという話ではありません。家を建てた人や、その道を使って暮らしている人を責めたいわけでもありません。ただ、毎日そこへ荷物を届けに行く側から見ると、道路の見え方が少しだけ違ってくる、というお話です。

🟢 車がUターンできない!「バックでしか戻れない」一本道の恐怖

新しく作られた綺麗な住宅街にお住まいの方は、ぜひ一度、ご自身の家の前の道路をドライバーの目線で眺めてみてください。

「道幅もそこそこ広いし、すっきりしていて車も走りやすそうだな」

そう見えるかもしれません。ですが、私たち軽貨物のドライバーがそのエリアに一歩足を踏み入れると、一気に冷や汗をかくような局面に立たされることがよくあります。

例えば、奥が行き止まりになっている一本道。 普通に乗用車で帰ってきて、自分の家の駐車場に頭から突っ込んで停める分には何の問題もありませんよね。ですが、手前の家から順番にピンポイントでインターホンを押していく配達の車からすると、「どこかで安全にUターン(方向転換)できるスペース」がどこにも用意されていないのです。

結果として、お届けを終えたあと、何十メートル、時には100メートル以上の長い距離を、死角だらけの狭い道の中でひたすらバックで下がって戻らなければならない、という過酷な「バックで戻るしかない状況」が日常茶飯事になっています。

一歩間違えれば、他人の家の壁やフェンス、あるいは歩行者に接触してしまうかもしれないという恐怖と戦いながら、頭から狭い場所に突っ込まざるを得ない道路設計。これが、毎日何百軒もの家を回るドライバーの神経を、ジワジワとすり減らしています。

🟢 遠い街の工夫:荷物が「着陸」する未来を想像しているか?

少し広い視点で、海外の道路事情に目を向けてみると、とても面白い工夫(思想)に出会うことがあります。

例えばアメリカやヨーロッパなどの一部のニュータウン(新興住宅地)では、行き止まりの道路の最奥部に「クルドサック(袋小路の終点を円形に広げたスペース)」という設計がよく取り入れられています。

これは、ゴミ収集車や配達のトラックなどの大型車であっても、バックすることなく、その円形のスペースをぐるりと回るだけで、安全にUターンして帰っていけるように最初から計算されて作られた道路です。まさに「車がやってきて、用事を済ませて、安全に去っていく」という、生活の動線が最初からインフラに組み込まれているんですよね。

一方で、私たちの身近な道路設計に目を向けてみると、どうしても「土地をいかに細かく区切って、一軒でも多く家を建てるか」という効率が最優先されがちです。ネット通販がこれだけインフラになった時代なのに、「荷物が最後にどうやってその家に届くのか(着陸するのか)」という、物流のラストワンマイルの視点が、道路を作る段階ですっぽりと抜け落ちてしまっているように感じます。

まとめ:道路は変えられなくても、私たちの「想像力」は変えられる

国が一朝一夕に、いまある全ての道路を物流に優しい形へ作り変えることなんて、物理的に不可能です。だからこそ、いま必要なのは、その不完全なインフラの上で毎日必死に車をコントロールしているドライバーへの、受け取り側の「ほんの少しの想像力と優しさ」なのだと思います。

「あそこの角の家、いつも車がバックで戻っていくの大変そうだな」 「雨の日にあの狭い坂道を上ってくるのは、きっと怖いだろうな」

そんな風に、ドアの向こう側をほんの少しだけ想像してもらえるだけで十分です。

その想像力があれば、たとえば「明日は雨だし、あの狭い道に何度も来させるのは申し訳ないから、1回で確実に受け取れるように置き配バッグを出しておこう」「アプリで時間帯をちゃんと調整しておこう」という、具体的な優しい行動に繋がっていきます。

日本の歪な道路インフラを、みんなの「思いやりの工夫」でカバーして、優しく物流を支えていく。そんなスマートなネット通販の輪を、まずは足元の道路を眺めることから、一緒に広げてみませんか?

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橘 ユウト
橘 ユウト
AIと現場から物流を再設計する配達員|橘ユウト
現役ラストワンマイル配達員「橘ユウト」と、物流を観察するAIロボット「ロジー」で運営するブログ。 現場の視点とAIの視点から、日本の配達の「当たり前」を少しだけ見直しています。
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