G-9RQD6QXHG0 なぜ不在1回目は0円?日本の物流を壊す再配達無料の罪【現役の告発】
物流の構造
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【現役ドライバーの告発】なぜ不在1回目は0円なのか。日本の物流を壊した“大手の過剰サービス”という罪

夜の住宅街で、荷物を抱えた軽貨物ドライバーが黒ナンバーの軽バンの前に立ち尽くしている。大きく「なぜ不在1回目は0円なのか」と書かれ、不在再配達による現場負担と報酬0円の問題を表している。
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日本の物流業界でまことしやかに囁かれる「2024年問題」や深刻な人手不足。その元凶として、よく「運賃の安さ」や「拘束時間の長さ」が挙げられます。

しかし、元大手物流会社の社員であり、現在は個人事業主(委託ドライバー)として現場に立つ私は、断言します。現場を最も疲弊させ、離職者をドミノ倒しのように生み出している真の元凶は、日本の大手宅配企業が長年顧客に刷り込んできた「再配達は何度でも無料」という異常な過剰サービス、そして「不在1回目はドライバーへの報酬0円」という狂った搾取の仕組みです。

これは、汗水垂らして働く現場の人間だからこそ見える、日本の物流構造の致命的な欠陥です。

1. 「空振り労働」を0円にするな。誰も得をしない搾取の仕組み

個人事業主の委託ドライバーの多くは、荷物を1個配達して「1個150円〜180円」といった成果報酬(完全歩合制)で生計を立てています。

ここで想像してほしいのです。指定された時間に家へ行き、インターホンを鳴らす。しかし、中に誰もいない。この「不在」の瞬間に、ドライバーの取り分は文字通り「0円」になります。

もちろん、急な用事や体調不良など、不在になってしまうお客さん側の事情を責めたいわけではありません。生活していれば留守にすることなど、誰にだって当然あります。

問題なのは、誰かの事情によって発生した「ガソリン代」「時間」「労働力」といったコストを、なぜかピラミッドの最末端にいるドライバーだけが、無償で100%背負わされる仕組みになっていることです。

1回不在になれば、その荷物をもう一度車に積み込み、夜に再び同じルートを走らなければなりません。移動にかかるガソリン代はドライバーの自腹です。2回目に配達が完了して、ようやく150円が入る。つまり、1回目の労働は完全に「タダ働き」として社会から搾取されているのです。この歪んだ制度こそが、現場の人間を絶望させている正体です。

夕暮れの住宅街で、不在の玄関前に立ち尽くす軽貨物ドライバー。背後には黒ナンバーの軽バンが停まり、時間・ガソリン・報酬が失われていく様子を、時計や燃料計、消えていくコインで表現している。

2. なぜ「不在1回目=0円」という歪んだルールが生まれたのか?

この理不尽な仕組みを作り出したのは、日本の物流大手企業です。

他社との激しいシェア争いに勝つために、彼らは「不在でも何度でも無料で配ります」という過剰なサービスを競い合って導入しました。そして、そのサービスを維持するために生じる莫大なコストやシワ寄せを、自分たちの身を削って補填するのではなく、下請けや委託ドライバーに「不在だったら0円」というペナルティに近い形で丸投げしたのです。

元請けである大手は、荷主(通販サイトなど)から最初の送料を確実に受け取っています。つまり、大手は1回目で不在になろうが痛くも痒くもない。損をするのは、現場を走り回っているドライバーだけ。

「再配達を有料化しろ」と世間は言いますが、本質はそこではありません。「現場が労働した事実に対して、1回目であっても正当な対価(空振り手当など)を1円でも支払う仕組みに変えろ」ということです。それすら拒み、現場の無料労働の上に胡坐をかいてきた大手の罪は、あまりにも重すぎます。

3. Amazonすら合理化しきれなかった、日本物流の“過剰サービス市場”

世界中で圧倒的な物流の効率化・合理化を進めてきた、あの外資系巨頭Amazon。彼らが日本市場に本格参入したとき、多くの人が「日本の古臭い物流もこれで変わる」と期待しました。

しかし結果はどうでしょうか。テクノロジーで世界を制したAmazonですら、日本の物流大手が長年かけて作り上げてしまった「再配達無料、当日配送当たり前」という歪んだ“過剰サービス市場”に、自ら過剰適応せざるを得なくなりました。

Amazon側も、日本でのシェアを拡大するためにこの利不尽なシステムを利用し、独自のデリバリープロバイダー(下請け)や個人ドライバーに対して、膨大な荷物量と厳しい時間指定を押し付ける構造を強化していったのです。

世界最先端の企業すら、健全な形に合理化することを諦め、現場の搾取に依存する道を選んでしまう。それほどまでに、日本の「再配達0円」という呪縛は根深く、市場全体を麻痺させています。

4. 結論:現場の「怒り」を無視した物流の未来に、明日はない

「お客様第一」という美しい言葉の裏で、現場の人間がタダ働きさせられている。この「人権を守らない」構造が放置されている限り、どれだけ「2024年問題」を議論したところで、担い手不足が解消されるわけがありません。若者がこの業界から逃げ出していくのは当然です。

私たちが求めているのは、過保護な甘やかしではありません。「働いた分の対価を、正当に受け取る」という、ビジネスとして当たり前の権利です。

配送アプリの進化や置き配の普及など、表面的なテック導入で解決した気になってはいけません。大手宅配企業は、現場に「空振り労働」を押し付けるその不条理な契約体系を、今すぐ見直すべきです。現場の悲鳴を無視し、無料の労働力に頼り続ける日本の物流は、すでに崩壊のカウントダウンを迎えています。

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橘 ユウト
橘 ユウト
AIと現場から物流を再設計する配達員|橘ユウト
現役ラストワンマイル配達員「橘ユウト」と、物流を観察するAIロボット「ロジー」で運営するブログ。 現場の視点とAIの視点から、日本の配達の「当たり前」を少しだけ見直しています。
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